「ランドセルと側湾症」 小学2年 男子 Kくん
相談内容
ランドセルを背負うと身体が曲がってしまい、歩きにくくなってしまう。親御さんも「背骨が曲がるんじゃないかと心配で」
立位では左肩が大きく下がるというより、上半身全体が大きく左に回転してしまうと言った方が的確な状態。
Kくん、幼少期から身体が弱かったため、全身的な発達、筋力とも非常に弱い。全身的に歪みも大きいため、リュックなどを背中に背負うと身体が崩れるように大きく傾いた状態になってしまう。
しかし、筋肉発達が弱いことで動きを制限する締め付けが小さいため、不安定ながらも大きくゆらぐことを利用し、歩行を可能とにしている。
それが、ランドセルを背負うと背面部が矯正されたような状態になってしまい、「歩行を可能にしているにゆらぎ」が制限されてしまう。これにより、非常にギクシャクしたロボットのような動きになってしまい、歩きにくさが生じる。
しかし、軽くて柔らかいリュックでも似たような動きになることから、肩紐を左右の腕に通しただけで、肩甲骨から鎖骨周辺にゆらぎの制限が生じる状態にあることがわかる。ただし、材質の違いからか、柔らかいリュックの場合、歩行のギクシャク感は軽減する。
ランドセルという四角い物体に抗えず、まるでランドセルを身体の中心におくために全身を崩し、対応しようとしているその姿は見ていて痛々しい。
実際、胸郭が折れ曲がる形状になるこの状態は、背骨だけでなく呼吸への影響から考えても到底すすめられない。
半年前、このような状態にあったKくん。
その後、月に1、2回、調整を繰り返し、徐々に歪みが小さくなっていった。
それに伴い、運動量も増加、身体つき、歩行ともにしっかりしてきて、何も背負わない状態での歩行のブレも半減。大きくゆらがなくても歩行が出来る。歩きやすさ、明らかな軸の安定感は本人の実感だけでなく、PT、周囲からも驚かれるほどに変化してきた。
再びランドセルを背負ってみたところ、冒頭の上半身の傾きはほぼなく、歩行への影響もなし。
沢山の大変なことを乗り越えてきたKくんが、また一つ前進する姿を見ることが出来て胸が一杯になりました。本当に良かったです。